コロナの影響で家賃を下げる際に必要な覚書

2020年05月26日

オーナー様へ

新型コロナの影響で私の周りでは塾や飲食店等々を経営されている方からのご相談をよくお聞きします。

営業を行っていない状況で収入がなくなり、店舗・テナントとして賃貸している物件の家賃を払っていくのが難しい。

家賃の値下げを考えてもらえないだろうか。

という言葉です。

 

この言葉に不動産屋が独断で決断することは出来ません。

物件毎に大家さんと相談をして解決をしていきます。

(その際には大家さんの現在・今後の状況、店舗・テナントの立地状況によって判断が変わってきますのでアドバイスはさせていただきますが)

 

「こんな時だからこそ力を合わせて頑張っていかなければ」と家賃の値下げに快諾される大家さんが多数おられます。

大変立派なことであり、助け合うことの素晴らしさを改めて気づかせていただきました。

 

 

が、ここで一つ忘れてはいけないことがございます。

家賃を値下げすることを書面にきちんと残されていますか?

口約束だけで済まされていませんか?

ということです。

 

難しい書面である必要はございません。

覚書として契約者さん、大家さんの署名・押印をする書類を各一枚づつ作成するだけでいいのですが、

そこには入れておいた方がいい文言がございます。

 

 

1.賃借人が新型コロナウイルス感染症の流行に伴い収入が減少していること等に鑑み、賃貸人が賃借人を支援する目的において~

このような意味合いの文言があれば問題はございません。

あくまで、コロナの影響で大変な思いをしている賃借人を助けたい、支援する目的で家賃を下げることに決めたと言う大家さんの思いを

そのまま文章に素直に記すだけです。

このような文言がないと、何故家賃の値下げをしたのかわからず、税制上「寄付をした、賃借人にお金をあげた」ことになる可能性があるからです。

折角善い行いをしたのに、確定申告の際に税務署からつつかれるのは勿体ないですよね。

ですので、このような文言が入っていない場合には入れられることをお勧めします。

 

2.値下げ賃料の適切な期間を設定する。

必ずいつからいつまでの家賃を値下げをした賃料にするのかを記載する必要がございます。

長い期間を設定しておくと、それはもうコロナの影響は関係ないよね??

と思われる可能性が出てくる為です。

そうすると先程と同じ様に「お金を渡してる」ととられかねないからです。

2、3ヶ月程度の期間を設け、設けた期間の期限が来る際にまだコロナの影響があるようであれば、

その際にもう一度覚書を結び直すのがよろしいかと思います。

 

 

いや、コロナの影響で下げたに決まってるでしょ!!

と言いたくなりますが、確定申告をする際になってみないと、何を言われるかわからないですし、

作っておけば突っ込まれても、「いや覚書ありますよ」で済むわけですから、作っておくことに越したことはないですよね。

(因みに書面の名目は覚書でも合意書でもなんでもいいと思います)

 

折角、人の為になることをされている方に損をして欲しくないと思い書かせていただきました。

たまには真面目なことも書くんだなと思ってもらえると光栄です。